Cosmetic in Japan 美容医学への扉-東京大学美容外科-アンチエイジング
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Web Master -Kotaro Yoshimura, M.D.-


シミ治療中のホームスキンケア指導

佐藤克二郎、吉村浩太郎

トレチノイン療法中においては、トレチノイン外用に伴う皮膚炎が見られ、またハイドロキノンにより刺激感や紅斑が見られることも少なくない。スキンケア指導については、こうした症状に対するケアを指導することが必要になる。また一方では、美容治療ならではの患者サイドに立った配慮をする必要がある。そのためには、できるだけスキンケアを簡素化する、メイクアップを許可する、患者の自由度を高める、などの努力が要求される。したがって、シミのレーザー治療後においても基本的には軟膏のみのケアを行っているし、メイクアップも許可している。

1) 洗顔、クレンジングについての指導
 洗顔料についての制限は特にない。角質の菲薄化から容易に皮膚が刺激されるため、機械的刺激を最小限に抑え、短時間で十分な洗浄能力を持つ洗顔料を使用するのがよい。ダブル洗顔などで十分に洗い流すが、皮膚を無理にこすらないように、また治療で剥れてくる角質などを無理にはがさないよう指導している。

2) 現在使用している化粧品(基礎化粧品を含む)
 治療中は洗顔後、まず水分補給を主な目的に化粧水の使用させている。使用させる化粧水には保湿目的でセラミドなどを配合した化粧水、その後で抗酸化剤として作用するアスコルビン酸燐酸エステル入りの化粧水の使用を推奨している。患部だけでなく、顔全体に使用する。アスコルビン酸燐酸エステル入りの化粧水は抗酸化剤として、主に皮脂の酸化予防、抗炎症の目的で使用している。メラニン生成抑制作用はきわめて弱い。化粧水の後で薬剤を使用するため、化粧水はオイル成分、グリセリンなどはできるだけ含まない方が望ましい。ピーリングやトレチノイン治療中ではエタノール配合の場合には刺激が強い場合がある。
薬剤の後に、メイクアップを許可する。薬剤の後には乳液は使わず、下地クリームもしくはUVクリーム、その後でパウダーファンデーションやコンシーラーなどのカバーリングクリームファンデーションの使用を許可している。
乾燥する場合には薬剤の塗布後1時間以上の時間をおいて、クリーム、オイルなどの使用を許可している。また、就寝時などオリーブ油やツバキ油、ナッツ油などのスキンケアオイルを常用することも可能である。
他に化粧品を使用する場合でもアルコールは刺激が強く注意が必要である。中でもアフターシェーブローションや香水類はエタノールを高濃度で含有しているので注意を要する。高級アルコール(炭素数6以上の一価のアルコール)であるセチルアルコールやステアリルアルコールは化粧品の原料として使用されていても刺激性はない。

3) サンスクリーンについて、何をどうするのかの指導
 紫外線ケアは、美容治療において非常に重要なものであるが、決して紫外線ケアによって炎症後色素沈着を防げるものではない。炎症後色素沈着は炎症によって引き起こされるもので、紫外線によって引き起こされるわけではない。
サンスクリーンにはいろんな剤型があるが、ローションや乳液タイプは使用している外用剤がある場合は同時に使用すると落ちる可能性があるために、時間をずらして使用する必要がある。ローションタイプの中には高濃度のエタノールやメントールを配合したものがあり、刺激が強いため使用には注意が必要である。オイルタイプのものは耐水性に優れており使用しやすい。
紫外線吸収剤はアレルギー反応が出やすいと言われるが、最終的には個人レベルにより反応は異なるため、パッチテストなどで確認して問題なければ、とりあえず使用してみる。製品によってはSPFが高くなるほど使用感が悪くなる傾向もあり、最終的な選択は患者に任せている。特に気温の高い時期は日中はこまめにつけ直す事が必要となる。

4) その他、重要と思われる内容
@ 治療中の温泉、プール通いには注意を要する。これまでは問題なかったとしても、治療を始めてバリアがなくなると問題を生じることが稀にある。
A 薬剤の順番はその薬剤の基剤による。基剤がクリームであれば、その前の化粧水は問題ないが、薬剤の前に乳液や他のクリームの使用は避ける。美容液についてはその基剤成分による。基本的には水性の化粧品から肌に載せてゆき最後は油性基材でカバーする手順で行わせている。
B 化粧は原則的に許可する。必要に応じて、軟膏などで保護した上でメイクアップを許可する。リキッドタイプは避け、クリーム、もしくはパウダータイプにする。コンシーラやカバーリングファンデーションで隠すことは美容患者にとっては重要なことである。
C ハイドロキノンによる紅斑などの皮膚炎症状は、大半のケースにおいてアレルギー性ではないので、患者の投与量が異常に多いことが多い。患者に正しい使用量や使用方法、使用回数などを指導することによって解決することが多い。ハイドロキノンが使用できない場合には、レーザー、トレチノインともに炎症後色素沈着が出た場合の治療が不十分になることがあるので、その点を強調して患者の意思を確認する。


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