Cosmetic Medicine in Japan -東京大学美容外科- トレチノイン(レチノイン酸)療法、アンチエイジング(若返り)
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色素沈着(しみ)(肝斑、老人性色素斑、脂漏性角化症を中心に)の治療
 
東京大学医学部形成外科 吉村浩太郎 (2001年6月)

I.はじめに
しみの治療対象患者は非常に多く、40歳代以上でしみを持っていない人はいないといっても過言ではない。20歳代で老人性色素斑(日光黒子)を持つ患者も少なくない。しかし、一言でしみといっても数多くの種類があり、最適な治療方法もそれぞれ異なるため、実際の治療では初診時の的確な臨床診断が非常に大切である。

II治療手技

1.レーザー治療
@ 水を標的とするレーザー(炭酸ガスレーザー、Er:YAGレーザー)
しみの中でも過角化を伴うものについては炭酸ガスレーザーなどが非常に有用である。具体的には脂漏性角化症(老人性疣贅)、アクロコルドン、扁平苔癬、青年性扁平疣贅などである。直視下で直接病変に照射することにより、必要最小限に過剰角質を蒸散させることが可能である。液体窒素などのクライオ療法も過角化病変の角質部剥離を目的として多用される。(皮膚小腫瘤に対するレーザー治療の項を参照してください)
A メラニンを標的とするレーザー(ルビー、アレキサンドライト、Nd:YAGレーザーなど)
メラニンの吸収波長でヘモグロビンの吸収の比較的少ない波長帯である590nmから1000nm付近の波長が使われる。皮膚に与える熱障害を最小限にするためにQスイッチタイプのレーザーが通常用いられる。過角化を伴う場合や、難治性の病変(扁平母斑、色素性母斑)などではショートパルス、ロングパルスタイプなどパルス幅の長いものも使用されるが、ある程度は瘢痕化して治癒させる形になる。
 Qスイッチタイプの各レーザーは老人性色素斑、雀卵斑、太田母斑などに使用される。特に太田母斑、伊藤母斑、異所性蒙古斑などの真皮性色素沈着においての有用性は高い。刺青にはQスイッチNd:YAGレーザーが用いられる。しかし、肝斑や炎症後色素沈着は増悪させる場合が多いので注意を要する。(色素性病変に対するレーザー治療の項を参照してください)

2.クライオ療法(凍結外科療法)
 液体窒素、ドライアイス、その他冷却ガスなどが用いられる。薬剤が浸透できないような過角化の状態でも冷却により肥厚した角層の剥離を促すことができる利点がある。圧抵時間などで調節することになるが、冷却障害を的確なレベルまで与えることが難しく細かい調整が効かない欠点がある。(凍結外科療法の項を参照して下さい)

3.レチノイド治療1-3)
レチノイン酸の皮膚に対する作用としては、表皮においては角質の剥離、角化細胞のターンオーバーを促す(分化促進)とともに、表皮角化細胞の強い増殖促進作用がみられ表皮は肥厚し角質はコンパクトになる。さらに、真皮においては乳頭層の血管新生を促すとともに、線維芽細胞のコラーゲン産生促進などの作用があり、長期的に使用することによって真皮は肥厚する。表皮、真皮レベル双方で皮膚の創傷治癒を促進する働きを持っており、さらに皮脂の分泌を抑制する働きも持つ(表1)。色素沈着の治療には、レチノイドの持つ表皮角化細胞の1)ターンオーバー促進(分化促進)、2)増殖促進の2つの作用が重要な役割を果たしており、前者は直接細胞に作用していると思われるが、後者はsuprabasal keratinocyteからのHB-EGF(heparin-binding EGF-like growth factor)の分泌によるパラクラインを介した作用であることが明らかになってきた。
実際の治療にはトレチノインの海外の既製品は効力が弱いため、自家調合が望ましい。トレチノインの原末(シグマ)から院内調剤して処方することができる。調剤法の1例を表2に記す。基剤が重要で治療効果を左右する。浸透性(親水軟膏の数倍)、治療効果、経済面から水性ゲルが最も優れている。トレチノインは非常に不安定な物質であるため、冷暗所に保管し、毎月1回程度新しい軟膏を調剤することが望ましい。トレチノインの治療では投与量が非常に重要な要素となるため、院内調合の製剤方法が異なれば反応も変わってくるので、ある程度の数の患者の反応を見て、自分が処方している製剤がどの程度の力を持っているのかを十分理解して使用方法を適宜変更、調整する必要がある。色素沈着の治療では、ハイドロキノン(5%)乳酸(7%)軟膏(閉塞性付与のため油脂基剤が望ましい)を併用する。ステロイド剤の併用はメラニン排出効果を極端に落とす。
 治療段階を漂白段階bleaching phaseと治癒段階healing phaseに分けて考える(図1)。はじめのbleaching phaseでは、患者自身にトレチノインゲルおよびハイドロキノン(5%)乳酸(7%)軟膏を毎日2回患部に塗布させ、昼間は日焼け止めクリームを併用させる。原則として治療開始時は顔面には0.1%、上肢および躯幹には0.2%、下肢には0.4%のトレチノインゲルを使用し、必要に応じて適宜濃度を変更する。治療中は皮膚が乾燥するので抗酸化剤(ビタミンC)ローション、保湿剤やオイルなどを適切に使用して、皮膚を保護する。トレチノインは色素沈着のある部位のみにベビー綿棒で、ハイドロキノンはさらに広い範囲で外用させる。一般的には、使用を開始して1-3日目には発赤を生じ落屑が見られる(1週間こうした反応が見られない場合は0.4%などさらに強い濃度の外用剤に変更する必要がある)。その頃から塗布直後にirritationが見られることもしばしばであるが(irritationはハイドロキノン乳酸軟膏によるところが大きい)、しばらくすると沈静する場合が多い。ハイドロキノンでかぶれる患者にはコウジ酸(5%、親水軟膏)外用で代用させる。徐々に皮膚炎が進行するとともに、色素沈着は薄くなっていく。色素沈着が消失(軽減)した時点で(通常は2-6週間の治療後、長くても8週間で中止する)、healing phaseに移行する。すなわち、トレチノインゲルの使用のみを中止する。ハイドロキノン乳酸軟膏は使用を続けるが、healingの過程で紅斑の消退が遅い場合は使用回数を減らしたり、コウジ酸(5%)軟膏外用に変更する場合もある。重要なことは、healingの過程で炎症後色素沈着を惹起しないようにすることで、時間をかけても、反応に応じて適切な漂白剤(美白剤)を使いながら炎症を冷ましていくことである。さらに、紫外線ケアを十分行うこと、ステロイド外用を極力避けること、も同様の目的のために重要である。図らずも、炎症後色素沈着を作った場合は改めてトレチノインでマイルドに治療し、慎重にhealingを行う。こうして6-12週間(1クール)で治療を終了するが、色素沈着が残っている場合はトレチノインを中止してから(bleaching step終了の時点から) 1-2ヶ月程度の間をおいて、2クール目を行うことができる。この中止期間を置くことにより、治療部位のトレチノインに対する耐性がなくなり、再び治療に反応するようになる。
レーザーとの比較では、色素沈着の治療対象の適応範囲が広いこと、炎症後色素沈着の発生率が低いこと、小じわやキメの改善など付随した効果が期待できること、脱色素などのトラブルがないこと、再発が少ないこと、顔面全体など広範囲に治療しやすいことなどが利点としてあげられよう。一方、本療法は太田母斑、伊藤母斑や刺青などの深い真皮性の色素異常には効果がない。実際には難しいが、トレチノインを"最適量"投与していくことが最も重要である。"最適量"というのは治療部位(顔面でも部位により大きく異なる)、併用している薬剤、その時点での皮膚(とくに角質)の状態や耐性の程度などにより、日々刻々と変化するため、頻繁に診察して、的確な判断、指導を行うことが治療結果を左右する鍵となる。また、それぞれの患者に応じて他の治療法(液体窒素、レーザーほか)や薬剤と上手に組み合わせることにより、さらに多彩な病変や治療過程に対応していくことが可能になる。

4.漂白剤
 治療として使える漂白剤の代表はハイドロキノン(ヒドロキノン)である。米国では2%(OTC)、4%(処方薬)の濃度で認可されている。本邦では未認可であるため自家調合する必要がある。著者は5%濃度で使用しているが、2-10%で使用できる。基剤はピーリング治療中は閉塞性を持たせるために油脂性基剤にすると良い。化粧下地として朝使う場合、メインテナンスで使う場合などは、クリーム基剤の方が使いやすい。
 ハイドロキノンで皮膚炎症状を誘発される患者には、コウジ酸やアゼライン酸などを使用するが、効果が弱くなるのは避けられない。
 漂白剤はあくまで新しいメラニンの産生を抑制するのみで、現在蓄積されているメラニンを排出する作用はないため、漂白剤単独による治療は自然な代謝に要する長期間が必要であり、積極的な治療法としては使えない。治療後のメインテナンスには必須であり、炎症後色素沈着を予防する目的でも有用である。
 その他、多くの成分が美白作用があるとして、化粧品、医薬部外品として市販されているが、効果が非常に弱く治療目的としては使えない。

5.ケミカルピーリング
 色素沈着の治療としては補助療法となる。薄い角質を剥離することにより、老人性色素斑で見られる軽度の過角化をとる、他の薬剤の浸透性を高めるなどの目的で使用する。単独での色素沈着の治療は困難であるが、漂白剤との併用で一定の効果は得られる。ごく薄い色素沈着の場合には選択肢となる。メラニンを排出する効果はレチノイン酸治療に比べるとかなり落ちる。
AHAの場合は、30-70%を患部に数分間の施術として行う(ケミカルピーリングの項を参照してください)、もしくは10-15%のものを外用剤として毎日使用させる。特定の病変部位の治療をする場合は、ベビー綿棒などで数分間塗布する処置を行うと良い。TCAの20-40%も同様の目的で使用することが可能である。

III.治療法の選択
色素沈着(しみ)と一言で言っても、さまざまな病態があり、治療対象によって最適な治療法を選択することが重要である。初診時には、過角化があるかどうか、真皮性のメラニンがあるかどうか、臨床診断は何か、を的確に判断する必要がある。
1) 過角化:過角化がある場合は、炭酸ガスレーザーなど、もしくはクライオ治療にて肥厚した角質を切除する。いずれの場合も、角質だけをきれいに切除することが肝要で、表皮中下層までダメージを与えると炎症後色素沈着を誘発することになるので、注意を要する。著者は、炭酸ガスレーザーを用いて、出力を細かく調節して、1mm程度のスポットで肥厚した角層だけを細かくきれいに切除するように心がけている。表皮、真皮内に色素沈着がある場合は、炎症が治まった後(通常2週後)に他の治療に移行する。
2) 色素沈着の深さ:メラニンは表皮内にあれば明るい茶色に見えるが、真皮内に深く入ると黒色、青黒色に見える。しみの"色合い"を注意してみれば、深いメラニンが混じっているかどうかを初診時に判断することができ、治療経過の予測を事前に患者に伝えることが可能となる。角質が肥厚している場合も色合いに影響してくる。真皮内のメラニンがある場合でも表皮内のメラニンをレチノイン治療で排出させた後にレーザー治療を行うことにより、基底層周囲の炎症が起こりにくくなるため炎症後色素沈着がおこりにくくなる。
3) メラノサイトの活動度:しみと言うのはメラニンの沈着であり、表皮内の場合はinとoutのバランスにより決まる。真皮内に取り込まれている場合はメラニン産生とは無縁に長期に継続しうる。表皮内のしみの場合はメラノサイトが異常になっており、メラニン産生が亢進している。メラノサイトを傷害する治療でなければ、表皮内のしみについては再発が起こり得ることになり、その程度(再発までの期間)は存在する異常メラノサイトの活動度(メラニン産生量)により規定されることになる。このメラノサイトの活動度は、疾患により大きく異なり、扁平母斑、雀卵斑、単純黒子などで強く、肝斑でも比較的高い。治療で改善した後は、活動度に応じたメンテナンス(漂白剤ケアなど)を行うことになる。

以下に著者が行っている疾患(臨床診断)別の治療法の選択について述べる。
@ 老人性色素斑(日光黒子):顔はレチノイド治療を第一選択とし、それ以外の部位ではQスイッチルビーレーザーを第一選択とする。レチノイド治療の際には、過角化を伴う場合には、AHA50%でベビー綿棒で前処置(3分程度)、もしくはCO2レーザーなどで薄く剥離処置を行うこともある。
A 老人性疣贅:CO2レーザー(Er:YAGレーザー)もしくは液体窒素治療を選択する。炎症後色素沈着を誘発しないように処置が強すぎないように留意する。頚部に多発するアクロコルドンはCO2レーザーで治療する。
B 肝斑:レーザーは色素沈着を増強することが多く見られるため、禁忌と言われている。レチノイン酸治療により一定の効果が見られる。過角化がないため、マイルドな治療でよいが、他の色素沈着よりも治療が難しいため、通常は2クールのレチノイン酸治療を行う。炎症後色素沈着を起こしやすい、紫外線に敏感である患者が多いため、治療中のケアには注意を要する。
C 雀卵斑:レーザー(Qスイッチルビーなど)やレチノイン酸治療が行われる。レチノイン酸治療の場合は、ベビー綿棒で1個ずつ丁寧に治療する。いずれの場合も、治療後のケアが大切で、再発が見られやすい。
D 太田母斑、伊藤母斑、遅発性太田母斑:レーザー(Qスイッチルビー、アレキサンドライトなど)が用いられ、健康保険も適応される。著者は、レチノイン酸治療を始めに行い、表在性のメラニンを除去した後に、レーザー治療を行っている。これにより、レーザー治療に伴う炎症後色素沈着を起こしにくくなる効果もある。
E 青年性扁平疣贅:クライオ療法もしくはCO2レーザー治療などが行われる。ウィルス性であるため、多発しているすべての病変を治療する必要がある。治療後の炎症後色素沈着にはレチノイン酸治療を行うと良い。
F 扁平母斑:Qスイッチルビーレーザーだけは健康保険が適応されるが、一般的にレーザー治療に抵抗するため、ショートパルス、ロングパルスレーザーを含めた複合治療の試みが多くなされている。顔面であれば、レチノイン酸治療も大変有効である。いずれの場合も再発の可能性があるので、治療後のケアも重要である。
G 単純黒子:通常はCO2レーザー、電気焼灼、外科的切除などが行われる。ルビーレーザーやレチノイン酸治療も可能。
H 色素性母斑による黒子:CO2レーザー、電気焼灼、外科的切除などを行うことになる。
I 炎症後色素沈着:レチノイン酸治療が適している。過角化がないため、マイルドな治療で十分である。身体の部位を問わず、治療にはよく反応する。炎症後色素沈着の患者は、色素沈着を惹起しやすい素因があるため、治療による炎症を沈静化させるときに慎重に行う必要がある。

まとめ
 しみ治療においては臨床診断が極めて重要であり、その治療法、注意点はさまざまである。副作用を必要以上に案ずると消極的な治療になり、臨床効果を認めにくい。一方、強力な治療を行えば、治療に伴う紅斑や炎症後色素沈着のケアに難渋することになる。日本人特有の治療に伴う合併症に留意するとともに、こうしたトラブルの防止法、治療法に精通することが求められる。

参考文献
1) Yoshimura, K., Harii, K., Aoyama, T., et al.: Experience of a strong bleaching treatment for skin hyperpigmentation in orientals. Plast. Reconstr. Surg. 105: 1097-1110, 2000.
2) 吉村浩太郎 シミの最新の治療 レチノイン酸療法、美容皮膚科学(漆畑修編)、メディカルコア、pp100-111, 2000.
3) 吉村浩太郎 レチノイン酸ピーリング 皮膚科診療プラクティス・ケミカルピーリングとコラーゲン注入のすべて(松永佳代子ほか編) 文光堂、pp83-88, 2001.


図1.レチノイン酸およびハイドロキノンを用いた漂白治療のプロトコールの1例

図2.62歳、男性(図2左)。顔面全体に黒色から黒褐色の老人性疣贅が多数散在している。炭酸ガスレーザー(drilling mode: 1.2mm, 10-12J/m2)で加療した。治療後の紅斑も約2週間で消退した(図2右)。

図3.43歳、女性(図3左)。顔面全体に多数散在する青年性扁平疣贅に対して、炭酸ガスレーザー(drilling mode: 1.2mm, 10-12J/m2)でやや深めに加療した。治療後3週間で炎症後色素沈着を生じたため、トレチノイン(0.1%ゲル) とハイドロキノン乳酸を併用した漂白治療を始めた。4週間後、炎症後色素沈着はほぼ消失した(図3右)。

図4. 39歳、女性(図4左)。両側の乳頭、乳輪の色素沈着の改善を目的に、トレチノイン(0.2%ゲル) とハイドロキノン乳酸を併用した漂白治療を始めた。4週間後、0.4%トレチノインに変更しさらに3週間漂白治療を行った。4週間の休止期間の後、再び0.4%トレチノイン、ハイドロキノン乳酸外用で4週間漂白治療を行い、ハイドロキノン乳酸軟膏外用のみで6週間治療した。治療開始後5ヶ月で、十分満足できる結果が得られた(図4右)。

図5. 8歳、女性(図5左)。オトガイ部の扁平母斑に対して、トレチノイン(0.1%ゲル)とハイドロキノン乳酸を併用した漂白治療を始めた。2週間で十分な色素の改善が見られたが、さらに2週間トレチノインは継続した。ハイドロキノン乳酸のみとして6週間で完全に紅斑も消失した(図5右)。

表1. トレチノインの皮膚に対する作用



  作用 適応(臨床効果)

表皮         角層剥離 ニキビ、薬剤浸透性、クスミ
表皮の肥厚(ケラチノ増殖) 色素沈着、創傷治癒、(表皮ジワ)
表皮ターンオーバー促進 色素沈着
間質内ムチン沈着(ヒアルロン酸など) 潤い、(表皮ジワ)
(メラニン産生抑制はない)

真皮 真皮乳頭層の血管新生 創傷治癒
コラーゲン産生促進 小ジワ、張り、創傷治癒
皮脂腺機能抑制 ニキビ
     


表2

トレチノイン(all-trans retinoic acid)水性ゲル 0.1-0.4% 1000gの調合法の1例

   トレチノイン               1-4 g
   カーボポール940            10  g
   エマルゲン408              20 g
   10%NaOH                6 ml
   パラ安息香酸メチル          0.26 g
   パラ安息香酸プロピル         0.14 g
   精製水               ad. 1000 g

 


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